記憶

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セイルの氷の造形技術は半端ではなく、武器を造ればほぼ本物と近い物ができる。 銃を造れば弾もあり、発砲もできる。威力は本物と何ら遜色ない。 5、6発ほど連射され、さらに本物の銃弾とほぼ変わらない速度である。 「そんなもんくらうか」 ライナが長剣を振ると、金属音とともに、地面に何かが落ちた。 それはセイルの氷の銃弾。全てきれいに両断されている。 なんと並外れた動体視力と剣さばきであろうか。 銃から発射された銃弾は、普通肉眼で捉えることはできない。 それをライナはいとも簡単そうにやってのける。しかも、複数を同時に。 レイチェルやヴァンの棒術やでもそれができるが、今思うと、自分の周りは非常識な実力の持ち主ばかりだ。 ライナやヴァンなどは、その武器の扱いに加え、能力をこれ以上ないくらい完璧に使いこなせるまで成長したとしたら、おそらくナナにさえも上回る実力者となるであろう。 「はっ…相変わらず剣術は超一級だな」 「剣だけじゃないとこも見せてやるよ」 ライナはそう言うと、天高くジャンプし、片手をセイルにかざした。 「落陽球」 その片手に球体状に集まった炎は、振り降ろされることで地上へと落下を始めた。
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