記憶

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ライナの復活を意味する炎は、冷たい氷の塊をだんだんと溶かしていく。 やがて全ての氷が溶けて消え、ライナの目が開いた。 「セイル…?」 セイルが泣いている。 ライナはそれを少しの間見守った後、長剣を近くの地面に突き刺した。 「セイル、決着をつけよう。俺はまだ死んでないぞ」 ライナがそう言うと、セイルは涙を隠して立ち上がった。 「ライナ…オレは…っ」 「次で白黒つけよう。いくぞ」 ライナは一気に炎を大量に発生させると、空に向かって挙げた手に集めていく。 荒々しく燃え盛る炎。今までとは少し違う、凶暴そうな禍々しさを持っている。 「…わかった。次で最後だ」 セイルもまた、ライナと同等の量の冷気を手に集めていく。 2人の勝負の行方は、次に発動する技のぶつかり合いによって左右されることとなる。 そして、双方の準備が整い、互いに手を向けあった。 「火龍紅滅撃!!」 「流破氷河(りゅうはひょうが)!!」 炎の塊は龍へと、冷気は一気に拡散して氷河へと変わり、激突した。 互いに本気を出した勝負。これを打ち破った者が勝者となる。 火龍は氷の激流を泳ぐように突き進んでいく。 所々凍てついてはいるが、火龍はまるで、ライナの強い意思を反映しているかのように頑強であり、次第に氷河を蒸発させて行く。 「く…そんな!オレの氷河が…!!」 「いっけぇぇぇ!!!」 火龍は氷河を全て飲み込み、大爆発を起こした。
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