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「どっちもごめんよ」
ナナの全身からまばゆい光が、歯止めをなくしたかのように溢れてくる。
大きい技がくる。お互いがそう予感し、それに打ち勝つだけの力をふりしぼろうとしていた。
しかし、フィレスはここであることに気づいた。
「あ、これはマズイな」
フィレスの目線の先はロアギール騎士団本部の建物。
そう。ここで自分とナナが本気で派手な技を使えば、騎士団ごと消えてなくなってしまう。
いや、このジオーグ全体が原形をとどめないほどにぐちゃぐちゃになってしまう。
どうするか。フィレスは煙草を一本口にくわえ、ライターで火をつけた。
「ふぅー」
「えらく余裕ね?」
「お互いに派手な技は使えないはずだろ。それとも、お前は部下ごと俺を殺すつもりか?」
フィレスの言う通り、ナナも近くに仲間がいるはず。
彼女もそれには気づいているはずだ。
「私は仲間なんて…1人いればいい。セイルさえいれば、彼さえいれば他には仲間なんて要らない」
「へぇー、そりゃまた酷いねぇ。どおりで、元シェルフォード親衛隊をクビになったはずだ」
「ち…違う!私は自分から嫌気がさして、あんなとこ辞めてやったんだ!!」
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