孤立した光

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「ちらちらとハエみたいな動きだな」 「そう余裕かましてられるのも今のうちよ。無差別の光線(むさべつのこうせん」 ナナが片手をばっと開くのを合図に、幾多に散らばってる光の塊から、その名の通り光線を放出していく。 それは闇の空間内を隙間なく行き渡るように、それぞれが360度方向全てに方向転換している。 「ちっ、数学みたいなネーミングしやがって」 悠長なことを言うフィレスだが、さすがにこれには焦りをつのらせた。 闇の空間は灯りをともしたかのように、いや、今度は光で何も見えないような状況になり、フィレスはさらに闇の空間を自分の周りにだけ作って盾とした。 しかし、それにも光は差し込み、やがて闇の空間は全て照らされ尽くし、無と消えた。 フィレスも右腕を光にやられ、わずかだが傷をおっていた。 「はぁ、はぁ。これでも軽傷か。やっぱ化け物ね、あんたは」 「やってくれるねぇ。だが、ここで終わりだ」 フィレスは再び、先ほどと同じ手のひらの大きさの、闇の球体をナナの手前に発生させた。
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