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「おっさん!!」
呼ばれ慣れない声がしたなとフィレスが振り向くと、2人の男がこちらに走って来ていた。
そう。ライナとセイルである。
先ほどまで敵陣で指揮をとっていた男がライナと一緒にいる姿を見て、フィレスはにやっとしながらタバコを口にくわえた。
「いよーう、リリアとやらは無事見つけたか?」
「ああ。今敵の幹部と戦ってる」
「そうか。おや?茶髪ボウズ、今度はこちら側に立つのか?それと、誰も殺してないだろうな?」
「殺してません。…償います。オレ…」
一安心したフィレスは、タバコにライターで火をつけ、煙をはきながら、戦場に目を戻した。
「そこのダチに感謝しとけよ」
何気ないその言葉を聞き、隣にいたライナはホッとしてセイルの肩を叩いた。
前持ってセイルのことを言っておいてよかった。
リリアはきっと勝ってくれるはず。ミサとヴァンも、どこかで戦っているだろう。
彼らなら大丈夫だ。あとは、敵のリーダーさえおさえれば良い。
「ナナは?」
「あの中だ」
セイルの問いでフィレスが指差した先にある黒い球体。
「!!!」
それは、ライナたちが目を向けた瞬間、風に飛ばされるように消え去り、地に倒れ込んでいるナナの姿が見えてきた。
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