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「く…何で私の光が…?」
そう。フィレスが出したあの手のひらの大きさの闇の球体から、自分の能力であるはずの光線が出てきたのである。
それを密室で360度に撃たれては、避ける隙間などあるよしもない。
「ふぅー。どうだ?自分の光を浴びた気分は?」
「あなた…何をしたの?」
「一回目に閉じ込められた時、お前はバカみたいに光を撃ちまくっただろ?その時の空間はな、お前の光線を吸収してたのさ。で、二回目の空間の時にそれを全部放出したんだよ」
あのナナが地に倒れている。
セイルはもちろん初めてそれを見る。ライナは事実上二回目だが、その時の記憶はないため、ほぼ初めてに近かった。
これがロアギール騎士団団長フィレスの力。
あのハイムやルミといった騎士たちの頂点に立つ男である。
「く…まだまだ…!!私は負けない!」
「ナナ、もう終わりだ。勝負はついてる」
ゆっくりながらも立ち上がったナナにそう声をかけたのは、仲間であるはずのセイルだった。
なぜ彼はフィレスやライナの隣にいるのか。ナナの頭の中は真っ白になった。
「セイル…どうしたの?」
「もう終わりだ。ナナ、投降してくれ」
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