告白

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ラーディス国首都要塞 世界一の精鋭と名高い兵士たちの訓練が行われている。 監督を虎将マティルが務め、その厳しさを増していく日々。戦争に明け暮れ、世界を制すための準備。今やその大業を成そうとしている元帥リグレス。 そして、ラーディスを戦争の中心に置いた、シェルフォード親衛隊筆頭ミーゼル。 同じくシェルフォード親衛隊のアスールの苦悩は絶えることがなかった。 そのアスールは、任務以外の時は、自室に閉じこもるようになった。 食事を取っているところも、最近では誰も目にすることはなくなっていた。 そんな彼を気遣った部下が、ある時アスールの事務室を訪ねた。 「失礼します。アスール様、いらっしゃいますか?」 ノックをしても声をかけても応答はない。 部下の兵士は失礼を承知で、おそるおそるドアを開けた。 目にしたのは、書類で散らかり、清潔感のない空間。 アスールは真正面のデスクに座っていた。 呆然とどこかを見つめ、瞬きもしない。まるで、座ったまま死んでいるのではないかと思うまでに、彼の顔はやつれていた。
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