219人が本棚に入れています
本棚に追加
「ライナとセイルはどうしたの?」
「ライ兄ならさっき、帰って来たルミ姉に追いかけられてどっか行ったよ。セイ兄は知らないなぁ」
セイルは、事件翌日である昨日に、ミサやヴァン、リリアたちにはもちろん、騎士たち全員に謝罪していた。
団長の言葉もあり、死者も出なかったので騎士たちは幸い許してくれ、ミサたちも快く彼を迎えていたのだった。
「ルミが帰ってきたのか…。じゃあ、セイルはここからが正念場ね」
「そうだよね。ハイムさんはともかくルミさんは鬼だからなぁ。セイル引きちぎられるんじょないの?」
ヴァンが他人事のように笑い飛ばしたその時だった。
後ろから、頭を誰かにガシッと鷲掴みにされ、ヴァンは急に大量の汗をかきだした。
「だぁれが鬼だってぇ?ヴァン」
「だ…う…ふぁ…る、ルミさん。いたの?」
強制的に振り向かされたヴァンの目に入ったのは、まさに鬼の形相だったルミの顔だった。
ハイムが帰ったということは、当然彼女もここにいることになる。
「ルミ姉、ライ兄は?」
「ライナくんならどっかに隠れてるわ。てか久しぶりね。そうでもないかな?」
泡をふくヴァンをコロッと床に投げ、ルミは笑顔を見せた。
彼女と以前最後にあったのも、またナナとの事件以来のことである。
最初のコメントを投稿しよう!