告白

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「ここにいたか、セイル」 「!」 突如声をかけられ後ろに振り向くと、そこには任務から帰ってきたハイムが立っていた。 今1番会うのを避けたい人間が来た。会わす顔がないとは正にこのことである。 「ハイムさん…」 「隣、いいか?」 セイルが頷いたのを見たハイムは、ゆっくりとセイルの隣に座った。 少し子どもたちを見た後、ハイムの方から口を開く。 「団長から話は聞いた」 「…ハイムさん、オレ…何て言ったらいいかわかんねぇ。何て謝ったらいいのか…」 「そうだな。お前がやろうとしたのは、俺やルミ、世話になった騎士団を裏切る行為だった。正直、ショックだったよ」 ハイムから何と言われるだろうか。二度と顔を見せるなとでも言われて殴られるか。 そうされても仕方がない。自分のしたことはそういうことだ。 「でも、お前は成長した」 「え?」 「人を信じるようになれたんだろ?以前のお前はひねくれてた。社交的だったが、関係を深くするのを嫌がった。そんなお前が、本物の友を五人も持った。特に、ライナには本音をぶつけることができる。そうだろ?」 「…」 「友は一生の宝だ。その友が、道を外しかけたお前を救ってくれたんだ。親のようにお前を見守ってきた俺としては、こんな有難いことはない」 「ハイムさん…」 ハイムは立ち上がり、数歩歩いてからこちらに振り向いた。 「お前はまだ戻れる。取り返しはつくんだ。そんなに思い悩むな。俺やルミ、ライナたちはいつだってお前の味方だ」
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