ルームメイト

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二人は互いの荷物を整理するために各々部屋へと別れた。 部屋に戻った、ゴルビッド・ルネバルド……ルルという、あだ名が与えられた彼女は床に座り込んだ。 緊張と不安からの一時的な解放 しかし胸が高鳴るのは、それだけが理由では無い。 「は、初めてだったなぁ」 思わず声に出た。 『初めて』……この言葉の意味は彼女しか解らない。 彼女は今までずっと『ゴルビッド・ルネバルド』として生きてきた。 もちろん、今までの学園でも友達はいた。 しかし、彼女を呼ぶときは…… ゴルビッドさん これだった。 その理由は単純に一つ。 自分自身が、友達と深く仲良くなれないからだ。 自分からは怖くて相手の心に踏み込めない。 なのに、相手から来られると自分を知られ嫌われる恐れから壁を作り踏み込ませない。 知らず知らずの内に、それが当たり前になっていたのだ。 しかし、今回は…… 「あの子と私上手くやっていけるかな?」 再び本を手に取った。 代わり映えしないタイトルと見つめ合う。 そのとき、 「ルルー、ルルー!!」 いきなり部屋のドアがノックされる。 あまりに不意打ちなことに心臓が飛び跳ね、思わず手に持っていた本を落とした。 ゆっくり、ドアを見て近づく。 その間もドアは休むことなく叩かれていた。 「は、はい」 緊張から多少声が裏返りながらも、ルルはドアを開けた。
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