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「ど、どうしたの?」
内心にある多少の怯えを出さぬ様に、可能な限りの平然を装ってドアを開ける。
「いや、荷物整理終わったから学園の探索でも行かないかなー? って、思ってさ」
葵は笑顔でそう言った。
「えっ!? もう終わったの?」
ルルは驚いた。
自分より後に荷物整理を始めた葵がもう終えている。
ルルはまだ本の整理に悩んでいて序盤も序盤だ。
「うん。整理って言っても、考えたら私服ぐらいしか持ってきてなかったからね。クローゼットにドーンとやりました」
葵はそう言って、何かを投げるジェスチャーをした。
「ルルはどんな感じ?」
「えっ? わ、私は本が多くて……」
「そうなんだ。何か手伝おうか?」
「いえ、全然大丈夫だから……」
そう言って、ルルは激しく手を振ると、葵は少し残念そうな表情を見せた。
「そっか。んじゃ、私はちょっと学園の方に行って来るね」
「う、うん」
「また、今度でも良い本あったら教えてよ」
葵はそう言って、無邪気に笑うと元気よく玄関から出て行った。
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