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「ほ、本当かい!?この村に雨を降らせるなんて…!」
翌日、リィ達は広場で仕事をしていた村長さんに話しました。
村長さんの驚いた声を聞いて、村人達は何事かと集まって来ました。
「はい。計算上、明日の昼には雨を降らせることが出来ます」
リィは答えました。
それを聞いた村人達は、あまりに突拍子のない話だったのでみんな困惑していました。
村長さんも半信半疑でした。
「一体、どうやって雨を降らせるんだい?」
「説明すると長いんですけど、アタシの魔法を利用します。まず、火の魔法で上昇気流を発生させて…」
リィが右手をあげた瞬間、辺りに立ち上る熱気が発生しました。
「そこに風の魔法で空気中の水蒸気を集めて…」
熱気が湿気を帯び始めました。
「この空気を上空の積乱雲に送ります。まぁ他にもやることは多いですけど大まかにはこんな感じです」
リィの魔法に、村人たちはざわつきました。魔法をみるのが初めての人ばかりだったからです。
そんな中、一人の少年が大きな声で言いました。
「僕、本当に雨が降るなら嬉しいな!!水汲みに行かなくてよくなるもん!!」
その声を聞いた村人達は、徐々に賛同しました。
「別に降らなくても今までの生活と変わらないし…降ったら楽だよな…」
「ああ。確かにその通りだ!!妖精さん!!いっちょやってみてくれよ!!」
「これで雨が降れば、私たちの生活もうんと楽になるわ!!妖精さん!!お願いします!」
村人達は口々に言いました。
盛り上がる村人達の中、意を決して村長さんが言いました。
「あなたたちにお願いするわ。どうかこの村に雨を降らせて頂戴!」
それを聞いたリィはニッコリ笑うと、
「わかりました!!アタシ達にお任せください!!」
と、勢いよく応えました。
一方のユキは、ただ黙って成り行きに任せていました。
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