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そこには、見渡す限りの花が咲いていました。
辺りには甘い香りが漂い、眩しくて思わず目をしかめてしまうほどの白い花でした。
ここはとある国の、大きな花畑でした。
その花畑の中に、女性と少女いて、太陽の光に照らされながら、話をしていました。
女性はスラリと長身で、長い髪を後ろでくくって垂らしていました。
一方の少女は、女性の掌の上に乗れるほど小さく、現に今、女性の掌の上で女性を見上げていました。
少女は首を傾げながら女性に尋ねました。
「ねぇママ。『しあわせ』ってなぁに~?」
少女のあどけない声を聞き、女性はニッコリと笑いながら答えました。
「そうねぇ。目に見えるけど、見えないものかしら」
それを聞いた少女はさらに首を傾げました。
「よくわかんなぁい…」
女性は空を見上げてフフッと微笑みました。
それは、ユリの花のように、可憐ではかない笑顔でした。
空を見上げたまま答えました。
「一人一人、幸せの形って違うのよ。私にとっては、あなたがいることが私の幸せなのよ」
それを聞いた少女はキャッキャッと喜びました。
女性は掌の上の少女を、手をあげて顔の前に近づけ、少女の頬にキスをしました。
女性は少女の髪を優しく撫でながらいいました。
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