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広場から続く道の先にある小さな家が、地面に沈んでいました。玄関は傾き、土台は地面に埋もれ、柱はバキバキに折れていて今にも倒壊しそうでした。
家の前で、おそらく先ほどの悲鳴の主であろう女性が地面にへたりこんでいました。
「大丈夫ですかッ!?」
ユキは女性に駆け寄り、体を支えました。
「どうしたんですか!?なにがあったんですかッ!?」
リィは呆然としている女性に慌てて尋ねました。
女性は引き攣りながら答えました。
「い、家が…晩御飯を作っていたら…グラッてして…慌てて……急に…」
パニックになっていたためかいまいち要領は得ませんでしたが、どうやら家の中にいるときに突然家が傾き始めたようでした。
ユキは女性が落ち着くまで支えているつもりでしたが、少しも経たないうちに、村のあちこちから悲鳴が上がりました。
人々の悲鳴、木がバキバキッと折れる音。
土煙があがり、子供達の泣き声が響き渡り…。
平和な村に訪れた突然の災厄に呆然とする二人の顔を、傾いた太陽が朱く紅く染めていきました。
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