Rain

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サァァァァァァ…。 静かな雨の降る森の中を、二人は歩いていました。 あの村から、二日ほど歩いたところでした。 ユキの肩の上で、リィはまだうなだれていました。 そんなリィが濡れないように、ユキはリィの頭の上に手をかざしていました。 「嫌な雨だね…」 ユキは呟きました。 「アタシは、村の人が幸せになればと思って…雨を降らせたのに…。あんなことになっちゃって…アタシはバカね…」 リィは悲しく笑いながらつぶやきました。 そんなリィに、ユキは微笑みかけました。 「本当は村人さんたちも、リィが皆のためを思ってやったことをわかっているさ。あんなことになったから、僕らを責めるほかなかったんだ」 「うん…でも、村がああなったのはアタシの責任だし…もっと調査してからでも遅くはなかった…」 リィは静かに涙を流しました。 ユキは、大きな掌でリィを包み込みました。 「あまり濡れると風邪をひくよ。リィ…」 リィを包み込んだを手を、ユキは自分の顔の前にやりました。 ユキはリィに微笑みながら、 「ねぇ、リィ…。僕はあの村の事を忘れずに生きていくよ。雨が降った時のとても嬉しそうな笑顔も、僕らに石を投げつけた子供の涙でグショグショになった顔も…全部忘れずに生きていくよ」 と言いました。 リィはコクリと頷きました。 「アタシも、ゼッタイ忘れないよ…」 雨が降っていました。濡れて緩くなった地面を、二人は歩いています。 サァァァァァァ…。 冷たい雨の中、リィは暖かいユキの掌の中で、泣き疲れて眠りました。 サァァァァァァ…………。 雨は、しばらく止みそうにありません…。
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