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「あなたもいつか、旅をしながら『幸せ』を探しにいくのかも知れないわね。あなたは他の妖精とは違う見た目をしているから、悲しいことや困難なことが、たくさんあるでしょう。でもね?」
女性はまた少女の髪を撫でて、ひと呼吸おいてから言いました。
「『幸せ』って、とても綺麗でいい香りなのよ?白くて、とっても美しいの!」
それを聞いた少女は目をキラキラさせながら、女性の掌の上でぴょんぴょん跳びはねました。
「じゃあアタシたびに出る!!『しあわせ』さがしにいく!」
「あら?なら××は、私の元からいなくなってしまうのかしら?寂しいわ…」
女性は寂しそうな顔で尋ねました。
すると少女はハッとした様子でキョロキョロと首をかしげ、終いにはその場で焦ったようにバタバタしました。
「ち、ちがうの!ママもいっしょ!!」
少女はあたふたしていました。
女性はその少女の様子をみてフフフッと笑いました。
「冗談よ?××。あなたが『幸せ』になってくれたら、私も幸せですもの。じゃあ、そろそろご飯の時間だから帰りましょうか」
二人はこの国の城へと帰っていきました。
ユリの花は、ただ静かに揺れていました。
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