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二人は今、先程草原から見ていた靄(もや)がかかった山脈の中を歩いていました。
といっても、歩いているのはユキだけで、リィはユキの肩の上で小さな本を読んでいました。
「ねぇ、リィ。本なんか読んで、酔わないかい?」
リィは本からちらっと顔をあげて、
「ユキの肩の上、もう慣れちゃったし。ごつごつしてるあんたの肩を乗りこなせるの、もはやアタシしかいない勢いだわ」
ユキは、どういう勢いかはわかりませんでしたし、そもそも自分の肩の上に乗れるサイズの人自体少ないよなぁ、と思いながらも、
「そっか、それならよかったよ」
と言って、思っている事は言わずに山道を歩きました。
一方リィは、いつの間にか、また本に目を戻していました。
町までは、もうすぐのところまで来ていました。
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