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町は白い城壁に囲まれていて、唯一南側に備え付けられた、巨大な木製の門からのみ町のなかに入れるようでした。
門の元には小さな詰め所があり、町に入るにはそこで入国手続きを済ませなければなりませんでした。正確には入町手続きですが。
詰め所の中には鎧と兜に身を包んだ太っちょの兵士が、椅子に腰掛け机の上に足を投げ出して、気持ち良さそうに居眠りをしていました。
ユキは詰め所の窓をノックして、兵士を起こそうとしましたが、兵士は全く起きる気配はありませんでした。
その兵士の様にイラッとしたリィは、ユキの肩から窓に繋がっている、書類を書くための‘さん’に飛び乗ると、右の拳で思いっきり窓を殴りつけました。
「起きろー!!」
ガンガンガンガンガンッ!!!
怒涛の勢いでリィは窓を殴り続けます。ユキは目を丸くしながら固まっていました。
あまりの音と振動に、兵士も思わず跳び起きました。
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