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「嫌な雨ねぇ…」
羽が折れた妖精のリィは呟きました。
「アタシもう疲れちゃったわ。雨に濡れて体も冷えるし…ユキ、早く休める所を探して頂戴!!」
「疲れたって、リィは僕の肩に乗っているだけじゃないか…」
ユキと呼ばれたトロルは、困ったように言いました。
一方リィと呼ばれた妖精はぷんぷんしながら、
「あんたの肩の上、ゴツゴツしててすっごくお尻痛いんだからねッ!だからふかふかのベッドで寝たいの!!」
と言いながら、ユキの顔をペシッと叩きました。
「わかったわかった…ごめんねリィ。早く村を捜すよ。さっき会ったホビットの話では、あと2日くらい歩いたら着くと思うけど…ほら、あそこの山が目印で、山の西側のふもとって言ってたから…」
ユキは切り株の年輪で方角を確かめながら歩きました。
「バカッ、そっちは南よ!こんな日の当たらない森の中では年輪なんてあてにならないんだから…。ほら、こっちよ…。もう~こんな雨の降る中2日も野宿なんて、最悪だわ…」
ユキは弱ったなあ、と頭を掻きながら、リィの示す方向へ歩きだしました。
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