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丸2日歩いて、ようやく村が見えて来ました。この辺りまでくると、雨もすっかり止んでいました。
さっきまではぶーぶー言っていたリィも、ユキの肩の上でぴょんぴょんハシャギました。
ユキは村を見つけたことよりも、リィの機嫌が直ったことに心底ホッとしました。リィが本当に機嫌が悪い時は、所構わず魔法をぶっ放す事があるからです。
村は広くもなく、狭くもなくと言った程度で、周りを森に囲まれた静かなところでした。家は全て木造で、所々煙突からけむりがプカプカと上がっていました。
家の他には、広場と畑と、今は使われていなさそうなボロボロの井戸が数個あるぐらいでした。おそらく地下水を掘りすぎて、地面の下はスカスカなのかも知れません。畑も実りが多いようには見えず、貧相な麦がチョロチョロと生えている程度でした。
「なんだか貧乏くさい村ねぇ…宿とかあるのかしら…?」
リィは肩の上でキョロキョロ村を見渡しながら言いました。
「広場に誰かいるみたいだね。行ってみよう」
二人は広場に向かって歩きだしました。
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