Rain

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「本当に粗末なもので悪いねぇ。」 女性はそういって二人に硬そうなパンと水を出してくれました。 「あら!わざわざご丁寧にありがとうございます!私はパンを食べれませんのでこちらのユキがいただきますわ」 「ありがとうございます」 二人は礼を言って食事を始めました。ユキは硬そうなパンを、まるで白パンを食べるように易々とかみちぎり、リィはユキが道中摘んでおいた花の蜜を吸いました。 二人が食事をしている間、女性は洗いものをしたり洗濯ものをたたんだりと、世話しなく働いていました。 その様子を見て、硬いパンを食べ終えたユキが女性に話しかけました。 「おばさん、この村の人達は大人も子供もみんな働いているみたいだけど、今日だけのことなのですか?」 口の回りをべとべとにしたリィも、蜜を吸うのを止めて女性を見上げました。 女性は洗いものをしてる手を止めて、エプロンで手を拭きながらニッコリと微笑みました。
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