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――手が、伸びる。
『なぁ、鬼』
稀有を見る手。
嫌悪の手。
好奇心の手。
『術士として知りたいことがある』
言葉が、芽吹く。
物珍しい言葉。
掻き回す言葉。
崩し言葉。
『鬼って、どれくらい傷つければ死ぬ?繁殖能力はあるのか?』
伸びて、
芽吹いて、
それは、首を絞める。
白髪の彼女
「――っ!」
そして彼女は息苦しさに跳ね起きた。
反射的の体起こし。
体を抱き締め、己の無事を確認して。
無意識に辺りを見回すのは誰もいないことに安心するため。
白髪の彼女
「……はぁ、」
早鐘を打つ己の鼓動と、出てくる嫌な汗を落ち着けようと彼女は大きく息を吸い、そして吐いた。
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