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当然、赤い彼がそれに気付かないわけがない。
赤い彼は、笑う彼女に更に苦笑で返した。
赤い彼
「ばあちゃん」
だけど、せめて声音はいつも通りに。
赤い彼は白髪の彼女に両手を伸ばした。
おいで、と呼ぶ両手。
赤い彼
「寒いんじゃないのか?俺の膝なら地よりはぬくいだろ」
な、と赤い彼はにこにこと笑う。
地に胡座をかいて両手を広げ、笑顔を携えながら白髪の彼女を招く。
その笑顔に白髪の彼女は少しだけぽかん、と間を置いた後、苦笑を少しだけ深めた。
辛そうだった苦笑を、嬉しそうな苦笑にかえて。
白髪の彼女
「ははっ……まさか後に生まれた鬼の子にそんな気遣いをされるとはな」
普段と同じ声音と、口調。
だけど彼女の震えは止まらず。
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