過程の欠片

8/10
前へ
/36ページ
次へ
何故、白髪の彼女が赤い彼を気遣っているか。 それは簡単な理由。 白髪の彼女が赤い彼の前を歩いていると、ごん、と言う素晴らしく鈍い音がしたのだ。 なんだろう、と白髪の彼女が振り返ると赤い彼が木に顔をぶつけていた。 いたた、と小さく呻きながら、顔をおさえ、彼は木から離れる。 それから、ふらふらとしっかりしない足取りで歩き、しばらくすると今度は何もない場所で転けた。 それはそれは派手に。 だから 白髪の彼女 「眠れなかったのではないか?そなた」 と言う今の状況となっている。 白髪の彼女の心配を耳で聞きながら「うー…」と赤い彼は再び顔をおさえて呻いた。 へたっ、と彼はその場に座る。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加