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へたり、とその場に腰を卸した赤い彼に、白髪の彼女は小さな小走りで駆け寄る。
ぶつけた額を抑える赤い彼自身の手を、白髪の彼女はその小さな手で力ずくで退ける。
赤い彼の前髪をかきあげて、白髪の彼女は覗き込んだ。
白髪の彼女
「どこだ?どこが痛い?」
ん?と、至って真面目な顔で白髪の彼女は赤い彼に聞いた。
その真面目な顔があまりに面白くて、ふ、と赤い彼の表情も緩む。
出会って何年かと言う長いようで、短い付き合いだが、彼は彼女が優しいことを知っている。
赤い彼
「…大丈夫だよ」
白髪の彼女
「先程、あんなにけたたましい音を出したくせにか?」
赤い彼
「音だけだよー。俺はなんともないって」
白髪の彼女
「どうだかな。強くぶつけたせいでただでさえ残念なそなたの頭が尚残念なことになるかもと思うと我は心配で心配で」
赤い彼
「………泣くぞ?」
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