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あまりの言われように、流石の赤い彼も小さく言い返した。
じろり、と目の前の彼女を見ると、彼女は「ふむ」と笑った。
白髪の彼女
「反抗するだけの口は利けるのだな。ふむ、大丈夫…と取っておこう」
にやり、と悪戯にそう笑って白髪の彼女は赤い彼の額をぺちん、と軽く叩いた。
痛い、と小さく赤い彼がぼやくと白髪の彼女は短く笑って、再び歩き始めた。
小さな体の、小さな歩幅。
どうしても草に当たってしまったり、枝を避けたりしながら歩かなければならない白髪の彼女の速度はあまりに小さく。
そこから頭を掻いて、ゆっくり立ち上がり、のんびり歩いても赤い彼が彼女に追いつくのはあっさりで。
赤い彼
「ばあちゃん。抱っこしてやろうか?」
白髪の彼女
「たわけ、年齢的にならば我がそなたを抱っこすべきだろうが」
赤い彼
「いやいや。それはぱっと見的に最悪じゃないか?」
だから、思う。
――彼女を傷つけたのは誰だ?
と。
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