9人が本棚に入れています
本棚に追加
「あたしは飯塚椿!!」
「渡辺麻奈美。(わたなべ まなみ)麻奈美で良いよ」
なんか2人、固い握手交わしちゃってます。
「あんたの名前は?」
「へ、私ですか? 私は朝峰くるみって言います」
「よろしく!!」
そういって元気良く手を差し出してくる麻奈美ちゃん。
私が恐る恐る手を差し出すと麻奈美ちゃんはその手をガッと掴んで2,3度ブンブンと乱暴に振ってきました。
「あ、この子は鈴木楓。(すずき かえで)さっき知りあったばっかりだから良くわかんないけど、良い奴なのは私が保証するから!!」
何を以って保証しているのか分かりませんけど。
「楓ちゃんね、よろしく!!」
「よろしくお願いしますね」
「くるみって、硬そうな名前なのに柔らかそうな顔だねぇ。あは、変なのー」
柔らかそうな顔ってだけで、変な人扱いされました。
というかこの子、どう見てもマイペース臭がプンプンします。
こういう何を考えているのか分からない子って、正直苦手なんですよね……。
私との会話を楽しんでくれているのかな、とか、どんな話題をすれば盛り上がるんだろう、とか、そういった事が分からないので、会話に詰まってしまいます。
「私は変じゃないです……って、それは!!」
「んー?」
変人呼ばわりしてきた楓ちゃんが食べていた品って、良く見れば私が食べたかった『超欲張りセットB』じゃないですか!!
「あ、これのこと? えへへー、安かったんだよぉ!!」
「入学式ぐらい良いもん食ってしっかり体力つけなきゃいけないからね!!」
そう言って楓ちゃんと一緒に(楓ちゃんより何倍も元気良くですが)笑う麻奈美ちゃんの品は『超欲張りセットA』。
お金という社会における絶対的権力の前に屈服してしまった私を嘲笑うかのような仕打ち……!!
「憎い……ッ!! 私は金が支配するこの世の中が憎いです椿ちゃん!!」
「あんたって時々本当に貴族なのか疑いたくなっちゃうよね」
最初のコメントを投稿しよう!