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「ん? くるみなんか変な顔してるけどどーかした? あ、貴族クラスには入れなかった事まだ気にしてんでしょ?」
「椿ちゃん、私は椿ちゃんをぜった……あ!! その事忘れてました!!」
たった数十秒前あんなにショックを受けたばかりだというのに、これが老化なのですか。
……心の中で呟いたボケほど寂しいものはありませんね。
「おーい同郷2人組!! 行っちまうよ?」
「あ、今行く。その件については後で一緒に先生に聞きに行ってみようよ。それに、あんたが悩み事したって、どうせ解決しないんだからさ。いつもみたいにあたしが助けてあげるよ」
心の中に溜まっていたモヤモヤが一気に払拭されるような感覚。
どうやら、余計な心配だったようです。
椿ちゃんは、いつまでだって私の親友です。
なんだか感極まって涙が。
「……つ、椿ちゃぁああああん!!!」
「うわあぁああああッッ?!!」
「ふぬゃッッ!!!」
「………ごめん。いくら会話の流れ的に抱きつく方向だったとしても、いきなりは無理だわ」
「うぅ……ひどいです。痛いです」
こんなにも感動的な場面でさえも、椿ちゃんを抱擁する事が叶わないなんて。
いや、この言い方だと私が同性愛者のように聞こえてしまいますね。
これはあくまで親友的な意味での抱擁であって、決してそのような……あれ、私なんで一人で弁明しているんでしょう?
「と、とりあえず行くよ? ほら、掴まって」
「あ、ありがとうございます」
椿ちゃんの手を借りながら立ち上がると、先にカウンターまで行ってしまった2人に手招きされてしまいました。
それに答えるように一度手を振って、私達は並んで2人のところまで歩いていきました。
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