凄すぎますッ!!!!

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「それでは午後の授業に入りたいと思います。まず始めに、皆さんにプリントを配りますね」 春の陽気の中、武田原先生のマッタリとした声が教室内に響きました。 先生は手に持っていた一束のプリントを、各列の最前席に座っている生徒に渡していきます。 「あぅあぅ……ふふぁふぃふぁん~」 「欠伸しながら人の名前呼ばないでくれる?」 「眠いでふ……」 「まず目を開けなって」 武田原先生が話し始めると、なんと言いますか、場の空気が一気にとろけます。 満腹も相まって、意識を保てているのが不思議なくらい眠いです。 ……武田原先生が睡魔の化身に思えます。 「くるみさーん、大丈夫ですかー?」 「だいじょーぶでふ......ふぁぁ......」 「あくびしながら言われても信じられないよ。くるみさんは僕のお話を聞いてくれない人なんですね」 「違いまけど、すいません」 「まずは背筋を伸ばしてみようね。皆さんもこの時間帯は眠くなるでしょうから、一度やっておいた方が良いですよ。後、窓際の人は窓を開けてください」 言われたとおり、椅子に座ったまま背中を反らせるだけ反らせると、眠気がかなり軽減されました。 換気によって新鮮な空気が教室を満たせば、武田原先生のとろけるような話し方も苦になりません。 先生、やる気がないように見えてこういうところはベテランですね。
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