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「それじゃー皆さん移動して下さいー。行き先は今配ったプリントに書いてありますから。時間に余裕はあるので、トイレには行っておいた方が良いですよー。」
武田原先生はそれだけ言うと、生徒が移動するのも確認せずに教室から出て行ってしまいました。
なんの説明もせずに去っていく先生に、クラスの雰囲気が一気に悪くなっていきます。
その中で大きな溜め息をついて席を立ちあがったのは、麻奈美ちゃんでした。
彼女はあからさまに腹だった様子でこちらへ向かって歩いてきます。
「見た? 聞いた? マジムカつくでしょアレ。デブだぬきめッ!!」
さながら般若の如く、悪鬼程度なら泣いて逃げるんじゃないですかね、麻奈美ちゃんの顔。
「ホント最悪だよね。教師ってなんで選べないんだろ?」
それに動じず普通に言葉を返す椿ちゃんもさすがです。
真似できません、とてもじゃないですが。
麻奈美ちゃんは「あーもう最悪!!」と再度愚痴をこぼしてから、廊下へと出て行ってしまいました。
「それじゃ、あたしも行くよ。また後でねー」
そう言うと、椿ちゃんもプリントを片手に授業場所まで移動していってしまいました。
「私も、行かなきゃいけないですね」
時間的にはかなり余裕はありますが、教室に残る理由はないですからね。
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