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「んー、こっちでしょうか。地図的には右を向いている状態ですから……」
ごきげんよう、どこかの誰かさん。
私今、非常に大変な事態に陥ってしまいました。
この状況は、紛う事無き迷子ッ!!
「そもそも、なんでこんなに校舎が広いんですかね……はぁ」
先ほどまであんなに大勢いた生徒たちは、ふと気が付けば皆無です。
正しく絶望、泣きたいッ!!
......はぁ。
「授業中のせいか誰も通りませんし、それに」「まだ散歩するのー?」
「にょわぁあああ?!!!」
「あは、面白い声ー。やっぱり変なのー」
「だ、誰かと思えば楓さんじゃないですか!!」
ビ、ビックリしました......!!
全然気配を感じなかったんですもん。
「どうしてここにいるんですか?」
「んー? くるみがずっとフラフラしてるからいけないんだよぉ。私は行きたいのに、遅れちゃうよ~」
のわりにずいぶんと楽しそうですね。
……それよりずっとついてきてたって事ですか?
いったいいつから?
「なんで私のところに? 麻奈美さんと一緒ではないんですか?」
「麻奈美は銃火器科だよぉ。ついてっても意味ないじゃん」
という事は、彼女は札術科?
「あれ、私お話ししましたっけ?」
「んー? 何が?」
「何がって私の科目ですよ」
「あは、くるみはさっき先生の話を聞いてなかったんだねぇ」
「うぐッ」
一瞬でそこまで見抜くとは、この子意外と冴えてますね。
そして、迷子になったり驚いたせいですっかり忘れてました。
ついさっき武田原先生から、全員の科目と属性の載ったリストが配られたばかりでしたね。
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