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私は朝峯くるみ(あざみね くるみ)といいます。
出身はトリカ国西部のはずれにある村、マポロン。
とっても小さい村で人口は1689人、同い年の子は18人しかいませんでした。
そんな村で一番仲良しだったのは、我が家の隣に住む飯塚 椿(いいづか つばき)ちゃん。
椿ちゃんは強くて優しくて、すごくかっこいい子なのです。
私が獅子鐘学院に来た最大の理由は、親に入れと言われたからですが、彼女の志望校がここだったっていうのも大いにあります。
「でもなんでこんなところにきたかったんですか? トリカ国の東部にあるここは、マポロンからはとっても遠いですし、先生の話だと平民と貴族が毎日喧嘩している国内最低の学校らしいじゃないですか」
「甘いなぁくるみは。貴族と同じ学校に通えるんだよ? つまりそれって玉の輿が狙えるって事じゃないか!!」
「たまの、こし……?」
「ここで貴族とディステニー感じてランデヴーしちゃって、ゴールインするっ!!」
椿ちゃん、ガッツポーズ決めちゃってますけど、それってつまり……。
「椿さん……だ、大胆すぎます。夜這いして射止めようなんて……!!」
「は? つか、あんた夜這いなんて言葉知ってんの?!」
「梟囀る晩に、湖面に映る満月を見つめながら、二人は熱い口づけを……キャー!!」
「キャーじゃないから」
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