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「……胸が無いからこそ成せる技ですね……」
「ぁあ?」
「あわっ?!」
感心のあまり、思わず本音が漏れてしまいました。
「おいコラ」
「あ、もう3階です。後一階分ですよ!! 頑張ってください!!」
「………お前のせいでこんな目に遇ってるんだよ……おっと、あぶないあぶない」
怒ってもなおバランスを崩さない、本物です。
「3、2、1……っと。やりましたよ!! ついに二階です!!」
「……よっ。ふぅ~。精神的疲労がやばいわー」
なんと、椿ちゃんはあの教科書の山を崩す事なく、最後まで運びきっちゃったのです!!
「椿ちゃんは凄いバランス感覚の持ち主です!! 天才です!! 世界で通用します!!」
「あはは、それは言い過ぎだって。でもちょっと凄かったかも……ん?」
言葉を区切って椿ちゃんが見たのは、階段の正面にあるクラス、1組でした。
「みなさん、自分の机がちゃんと床の目印の位置にあるか確認してください。今から机の上に教科書を転移させるので」
「「……………」」
スススススススススススス……………
「ふう。床に落ちたりとかしてませんか? 全部で18冊あるんですけどありますか?」
「………」
「………つ、椿ちゃん?」
なんていうか、文字通りフリーズしちゃいました。
「……行きましょう。私達は何も見てません」
「………うん」
「は、はは、それにしても椿ちゃんは凄かったですねー!!」
「……………うん」
ああ、これ、ダメです。
重症です。
私の手には負えません。
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