第壱話 「旅人」

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シノブに保護されてきた異星人達は、争う事もなく、かといって何かしら裏で秘密利に動くような素振りも見せず。 普通に最初からこの船のクルー(乗組員)だったかの様に、地球人の隊員達と会話し、生活し、時には共に怪獣の討伐や研究の一部を担ったりしていたのだ。 それは一重にシノブが宇宙人達とクルーの間を穏便に済ませるために、日々努力していたからだ。 しかし、その状況を快く思わない不埒者がいた。 彼の名前は、浜松豊船長。 第57番調査船の船長であり、立場上はシノブの上官に当たる人物であった。 が、浜松船長よりもシノブの役職である作戦隊長という立場がクルー達の中では重要視され、 調査が始まった頃と比べると、クルー達が浜松の意見や命令を無視する様な素振りを見せる様になったのだ。 この道一筋苦行を重ねて何十年、漸く船長という役職を手に入れたと言うのに…と浜松船長は、毎夜毎夜船長室に戻っては出航の際に持ち込んだ酒を浴びるように大量に煽った。
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