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酩酊状態に陥った浜松船長の思考は、その時何を思ったのか今では解らない。
彼はよたよたと千鳥足で自室に設置されていた『緊急時自壊プログラム』に近付くと、硝子のカバーを叩き割りボタンを発動させた。
けたたましい警告音と赤色灯が船内にいるクルー達の不安を煽る中、船長室から一発の銃声が響いた。
船長室の固定ロックを副船長の但馬センリとシノブが船員コードで強制解除し室内に突入した時には、浜松船長は傍らにZATガンを握り締め既に事切れていた。
砕け散った浜松の頭部を見た二人は形式上の救命措置を御座なりに施し、次いで緊急時自壊プログラムの解除を試みたが…二人はアイコンタクトで互いを見やると、船内放送で全クルーへある勧告を告げた。
……………………………………
『…あの時は、船を捨てる以外に方法が無かったからなぁ』
クリミオの運転を自動操縦に切り替え、観測席のダグダとアイオンが操縦席を外し代わってペガッサ星人のポルコが座っている。
「まぁ、仕方がありませんよ。あの時但馬さんとシノブ隊長のコードを受け入れる筈のAIアシスタントが、誤作動を起こしてたなんてクルー全員が予期していなかったんですから」
『んー…その件の事なんだけどさ、ポルコ。
アレ、もしかしたらクルーの誰かが仕組んだ事かもしれないんだ』
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