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「…と、言いますと。隊長はあの事件を故意のあった殺人事件だと仰りたいのですか?」
シノブの発言にポルコが目を白黒させながら、声を潜めて会話を続ける。
『もう物的証拠も遺体も無いけど、な。あの時船長室に千里さんと踏み込んだ瞬間、何か違和感を感じたんだ。一瞬だったから、細かい事は覚えて無いけど…』
「フム…」
納得がいかないのか眉間にシワを寄せて話すシノブの様子に、ポルコは口許を手で何度か撫でながら、不意に思い付いたのかまた向き直る。
<シノブ隊長、ちょっど覗かせで頂いても宜しいですか?>
『態々宇宙語に切り換える程の事でもないと思うけど、良いよ…゙許可する゙。』
シノブがポルコの言葉に頷くと、右手に嵌めていた黒皮の手袋を外して差し出す。
その手を慎重に自分の両手で包み込むと、ポルコはゆっくりと意識を集中させた。
シノブが目を閉じ、ポルコ同様意識を集中させると目蓋の裏にあの時を思い出す。
あの日あの時あの瞬間、自分の脳裏に焼き付いたあの光景を呼び起こすように引きずり出す。
次にシノブとポルコが目を開けると、眼前に広がる光景は船長室の惨劇が広がっていた。
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