第壱話 「旅人」

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シノブの言葉に唇の端を上げて含みのある笑顔を作ると、夏目研究員の姿をした何者かはクックックッと喉を鳴らして笑った。 <流石、一人で幾多の星人や怪獣どもを手込めにした女だ。 ……ヨク私ガ地球人デナイト見破ッタナ> 両手で顔を撫でるような動作をすると、撫でた所から変装が解けギョロリとした眼球と網目のような銀色と黒地の地肌が現れた。 「反重力宇宙人ゴドラ星人か。 宇宙のテロリストが態々潜伏活動してまで暗殺するような人材か、あのアル中万年発情期の陰鬱船長」 星人の正体が解ったからか、それとも自分の上司の馬鹿馬鹿しさを思い出したからか、半ば呆れるシノブの発言にすかさずポルコが突っ込んだ。 <ちょっ、隊長。仮にも船長だって元からアル中だった訳じゃありませんし、飲酒過多へ進めていったのは貴女も原因の一因なのは自覚して下さい。> 「黙らっしゃいポルコ、大体な毎日顔合わせる度にアルコール臭を漂わせるし気が付けばブリッジの隅で吐いてるわで、こちとらギリギリまでストレス溜め込んでんだ!!死んだ後くらい愚痴らせろ!?」 〈私のフォローガン無視ですか?!〉 二人がギャンギャンと言い争う中、蚊帳の外にされてしまったゴドラ星人が痺れを切らした。
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