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………―――
<シノブ、シノブ。
もうそろそろ蟹座星雲から抜けるから、いい加減に起きてよ>
『…んー、あぁ。はい…よ』
寝呆け半分で目蓋を押し開くと、目の前にドーンと大きな目玉をパチパチと瞬きする怪獣の顔が超至近距離で私を見ていた。
『…デバン、とりあえずあと1メートルは下がりなさい。これじゃ起きたくても起き上がれないでしょうが』
<あ、ゴメン>
一言謝罪したデバンがえっちらおっちら後ろへ下がり、私は自分が寝ていた操縦席を元に戻した。
欠伸を噛み殺していると、背後のドアが開いて小さい赤い生命体と白い幼体が室内へ飛び込んできた。
<キュ~!!>
<きゅいきゅいっ!!>
『…よう、おはようさん。ピグ、リムエレ』
飛び付いてきた二匹の頭を撫でながら、操縦コンソールや基盤を指先で起動させていく。
『仮眠開始時刻からどれくらい経過している?』
ピグとリムエレをデバンに預け、左右の副操縦士席に座るクルーに声を掛ける。
<キャップが寝てから大体地球時間で、四時間半が経過しました>
<その間、異星人及び怪獣による侵略的妨害活動はありませんでしたよ>
『了解、代行役お疲れ様。ダグダ、アイオン』
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