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異変
深い森の奥。
火にテラテラと顔を照らされながら、ひとりの少年が寝ていた。
あどけなさの残る寝顔。年は15前後だろう。
闇色の長めの髪は火に照らされると、それが暗い紫色である事が分かる。
前髪は銀色に染められていて、火の明かりに淡い光を返した。
少年が身に纏っているのは、黒を基調とした上下の服。ただ、袖の部分だけが赤く、炎が這うような柄が黒で描かれている。
右足には黄色い紐が巻かれ、その足に履いているのは服とは対照的な白い靴。
だが、容姿よりも、服装よりも、目を惹くのは右肩に描かれた青い紋章だ。
突然それが淡く光る。
しかし、少年には気づく様子も無く、気持ち良さそうな寝息が聞こえるだけ――…
彼の名は、シン。
そして、これはシンという少年の始まりの断片を描く物語である――
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