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東雲とはあまり面識はないが、去年、ヤツが生徒会にいたことがあって、よく集会なんかで体育館のステージに立っているのを見たことがある。
そんなヤツが、川に飛び下りるなんて、そんなに大切な物なのか?
「俺も手伝おうか?」
カバンを地面に置き、腕まくりする俺。
ザバッ!
東雲は勢いよく、水面から顔を出して
「いらねーよ。1人で探せれる……早く学校行けよ」
険しい顔でそう言うと、また背を向けた。
(そういうおまえだって、学校行かなきゃだろう!ったく……なんか引っかかる。こいつの探し物って、なんなんだ?)
「なぁ、探し物って何?」
それさえわかりゃー、こっちも……
「……手帳。生徒手帳」
「へっ?」
「もう、いいだろ?行けよ」
最後に俺を睨みつける東雲。
俺は、口をへの字にして、再び作業に戻るヤツを暫く見ていた。
しかし、すぐに我に返る。
「生徒手帳って……購売で買えるだろ?」
俺はヤツの背中に向かって問いかけた。
だが、返答はなかった。
それでも、俺はめげずに質問を続けた。
すっごく、くだらない質問をね。
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