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「もしかして、好きな女子の写真とか?それとも、ラブレターか何か入ってるのか?」
すこし、おちょくってもみる。
まぁ、東雲はカッコイいし、誰にでも優しいと学校では女子にモテモテだ。
だから……(えぇ、そうです。どうせ僻みもはいってますとも!くそぅ!)
「……うぜぇ。くそメガネ黙れ」
は?
たしかに、俺は眼鏡をかけているが、“くそ”は余計だ。“くそ”は。
「じゃあ、手帳に何が入っ…「殺人計画よ!」
……はい?
突然横から入ってきた第三者に、俺は顔を向ける。
通りすがり……じゃなかった。俺たちと同じ高校の女子だ。
たしか、去年同じクラスだった桃井(ももい)だ。
「その人は、手帳にある人の殺人計画を書いてたの!」
ビシッと、東雲に指差す桃井。
東雲は、冷酷な目で桃井を睨みつけると
「……見たのか?」
と、静かに問いかけた。
「見た。あなたの企みを、私は阻止するつもりよ」
強い口調で、桃井は言葉を返した。
東雲は、狂ったように笑うと、桃井と俺を見据えて
「……俺は本気だ。
おまえら、このことを他のヤツらに口外したら、その手帳に書いてること、実行するからな」
脅しのようなことを言って、水面に潜った。
潜ったっきり、東雲は姿を現すことはなかった。
たぶん、泳いで逃げたのだろう。
……やられた。
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