死の町

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地面を照らしていると ところどころ赤黒い 点が見える。 “血”にも見えるが 確認はせず、 そのまま町の奥へと 向かうために足を運ぶ。 やっと大通りに出た。 大通りには壊れて 動けそうもない車が 何台も連なって道を塞ぎ、 辺りは新聞や雑誌の ような紙の残骸が 舞っていた。 見るからに人はいない 雰囲気だ。 一部では車が炎上して 辺りを照らしている ところもある。 私は懐中電灯を消して 左のポケットに仕舞う。 そして用心のために 銃を両手で持った。 タッ…… 足音が僅かに響く。 私は急いで振り返った。 背後には特に誰もいない。 気のせいかと思ったが 前をもう一度見ると、 車と車の間でうろうろ している一人の青年が 視界に入ってきた。 それと同時に視界の端に 白いワンピースを着た 少女が映る。 少女に視線を送ると 少女は路地裏に 向かって走っていった。 青年も気になるし、 少女も気になる。
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