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私は悩んだ末、
青年に話しかけることに
した。
少し歩き、青年に
近づいていく。
青年は顔を少し下に
向けているせいで
表情が見えない。
「あの……」
声をかける。
その瞬間、
青年はピタリと
止まった。
二人の間はおよそ
5mぐらいだ。
「どうしたんですか?」
私はさらに声をかけた。
青年はしばらく
動かない。
私は懐中電灯を取りだし、
点けて青年に向けた。
その光が青年の顔に
当たった時……
ガァアァォァア!
咆哮が空に響いた。
青年の顔は血で真っ赤に
染まり、そして
右目が飛び出ていた。
よく見れば、手足にも
深い切り傷があった。
そんな傷のある状態で
青年は私に向かって手を
伸ばしながら歩いてきた。
私は驚き後ずさった。
青年は車を乗り越え
ただ私を見据えて
歩いてくる。
目の前にいるのは
“化け物”……
俗に言う“ゾンビ”だろうか。
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