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目が覚めた…のと、それを実感するまでの感覚は、非常に理解が曖昧だ。
それが現実なのか、夢なのか、それを判断する為に考えるにも至らない。
だから私は自分が今、何故、どうやって、ここにいるのかがわからない。
それどころか、ここがどこかすらわからないのだ。
否。
訂正。
「ぇ…何ここ…?」
目が覚めた…と実感しても尚、私は上記の1つも解決できなかった。
私が今認識出来るのは、驚くほど真っ白い部屋。
大きさにして6畳ぐらいだろうか。
余りにも白しかないので、正確ではないと思う。
本当はもっと大きいかも知れないし、いや、白は膨張色だと聞くから逆に小さいのかも。
ものは一切ない。
ない…のだが。
「…あぁ、アリス。目が覚めたんだね?」
見知らぬ男が約1名。
上半身のみを起こしている私とほぼ同じ体制で、私の真隣でシックな黒のチョッキの裾を直しながらにこやかにそう言い放った。
1名…と言って良いのかも危うい。
何故なら男の頭には真っ白なウサギの耳、お尻には同じ色の小さな尻尾が付いていた。
別に男自体は特別おかしい訳じゃない。
私の住む魔法使いの国では、動物が複数合わさった種族が多く存在した。
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