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自分の名前が解らない……。
そういえば、私はどうしてこんなところにいるんだろう。
ここがどこか解らないどころか、どうやってここに来たかも覚えていない。
最後の記憶を辿ってみる。
そうだ。
魔法学校の試験をしていたはず。
―下部を増やす事が最終試験です。下部にする相手の方から、貴方に接触を試みることでしょう―
先生の声がリアルに思い出される。
あぁ、しかし、私は試験を放棄した。
試験日は私の誕生日だった。
下部を増やす試験の説明が終わった後気付いた。
私の下部がいない。
試験で増やす下部と違い、初めて魔法使いとして学校に入る際に召喚した私のパートナー。
魔法使いにとって、人生でかけがえのないパートナーだ。
そのパートナーが、いなくなったのだ。
よりによって私の18の誕生日に。
魔法使いの試験は時に命をも落とす。
ただでさえ半人前な私が、下部なしで出来るような試験ではない。
その上私は精神的に参ってしまった。
だから、放棄した。
試験は、時期を改めて。
そう決めたところで記憶が曖昧になっていることに気付いた。
その後は…?
私をアリスと呼ぶ男との出会いに至る。
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