Episode1.出会い

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 一人の坊さんが、一服している居間の隣の部屋、台所では二人の男女が料理の真っ最中だ。 「辛さはこれくらいで大丈夫?」  白いエプロンを着た凛が台所で数時間じっくりと煮込んだカレーを小皿についで、味見役の翔に渡す。  翔は小皿を傾け、一口。 「どう? 口に合う?」  翔の反応を上目遣いで窺う凛に翔は顔を赤くして、 「だ、大丈夫だよ。ちょうどいい」 「本当に? じゃあ私も一口」  動揺を隠しきれていない翔の反応を見ながら、凛は小皿に口をつける。  瞬間、翔の顔が今まで一番赤くなる。動揺も最高潮に達した。 「り、凛……」 「なに?」 「そ、それって……か、か、かん、間接……」  焦り過ぎだよ、翔君。  その様子を見ていた二人の下宿する寺の住職、神野祐三は茶を啜りながら穏やかに微笑む。
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