Episode1.出会い

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 音は次第に大きくなってきて、廊下に立っていた神野には既に音の主、凛の姿が見えた。  彼女は居間の前で立ち止まり、一度神野と目を合わせて居間の中へ入る。  その瞬間、翔は息を呑んだ。  しかし、そんなことはお構いなしに凛は翔の前に座り、 「……はじめまして。柴崎凛といいます。……これからよろしく」  居間に差し込む日の光で輝く艶やかな黒髪を流しながら、凛は静かに礼儀正しく翔に頭を下げた。  その間、神野は翔の反応を見て笑っていた。  凛が顔を上げたあとも、翔は口を開けて何かを話そうとするが、声が出てこない。  完全に言葉を失っていた。  凛の群を抜く、端正な顔立ちと美貌に魂を抜かれたといってもいい。  翔は実際、抜かれているのだろう。  まあ無理もない話だと、神野は頷く。
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