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「よし挨拶も済んだことだし。凛ちゃんは翔君を部屋に案内してあげなさい。いいね?」
凛が、えっという顔を見せたが、神野は静かに頷いてみせる。
この子には、翔にもっと慣れておいてもらわないといけない。そしてそれは翔君も同じ。いつも固まっていたらどうにもならない。
凛は神野に頷き返し、肯定の意を示した。
「分かりました。……ついて来て」
「あっ。う、うん」
慌ててボストンバッグを持つ翔を連れて、凛はしずしずと今を出ていった。
それを見届けた神野はため息をついた。
今まで何度かこの寺に下宿していた子達がいたが、今回はなにかと難しい。
そう思うと、やはり翔に頑張ってもらうしかないと思うのだった。
翔を信じきれない凛が、神野に相談しに来て、翔を試すような方法を教えたのは、その日うちのことだった。
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