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蛍は今、夜間制の高校に通っている。
病気のせいで高校に通うことができなかった蛍を、せめて今からでも通わせて卒業をさせてやりたいという望月さんの親心からだった。
「学校は楽しいか?」
「うん!すっごく楽しいよ。
勉強は大変だけど、何より友達ができたことが嬉しいの」
蛍はキラキラした笑顔で言った。
そんな蛍とは対照的に、俺の心は不安と心配する気持ちがぐるぐると渦巻いていた。
「……変な男に絡まれていないだろうな?」
俺が少し声を低くして言うと、蛍は小さく笑った。
「皐君は心配しすぎだよ。
あたしなんかに誰も興味なんて示さないよ」
『その自覚の無さが心配なんだよ』と口から出てきそうになった言葉をグッと押し込め、俺は小さくため息をついた。
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