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「ひっく……ひっく……」
「お兄ちゃん、どうしたの?
なんで泣いてるの?」
部屋の隅で蹲(うずくま)って泣いている俺に、渉は心配そうな表情を浮かべて話しかけてきた。
「別に……何でもないよ……」
俺は俯いて答えた。
「でも、泣いてる。
僕じゃお兄ちゃんの力にはなれない?」
そういった渉の瞳は、涙でいっぱいになっている。
「なっ……なんで渉がなくんだよ」
「だって……僕が困っている時、お兄ちゃんはいつも僕を助けてくれる。
けど、お兄ちゃんが困っている時、僕はお兄ちゃんに何もしてあげられない……」
そういって渉は完全に泣きだしてしまった。
「渉……」
俺は立ち上がって渉の頭を撫でた。
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